生活習慣病
生活習慣病とは
生活習慣の乱れ(偏食・過食、運動不足、酒やタバコなど嗜好品の過剰摂取 など)、あるいはストレスなどの環境要因といったことが原因で起きるとされる病気を生活習慣病と言います。代表的な生活習慣病には、糖尿病、高血圧、脂質異常症、高尿酸血症(痛風)があります。
生活習慣病は、これまでの生活習慣を見直すことで予防や改善効果が期待できます。食生活の改善(食事療法)や運動不足の解消(運動療法)が中心ですが、医師が必要と判断すれば薬物療法も行われます。それぞれの患者様に合った、食事面の栄養指導や体を動かすための運動指導や改善案をご提案しております。生活習慣病を発症している方、また健康診断などで生活習慣病予備軍であると指摘された方は、一度ご相談ください。
代表的な生活習慣病
糖尿病
血糖値が慢性的に高い状態にあると糖尿病と診断されます。
血糖値は、高すぎても低すぎても病気を招きますが、そのバランスは膵臓から分泌されるホルモンの一種であるインスリンが機能することで維持されています。しかし何かの原因によりインスリンが分泌されない、分泌していても量や質が十分でないとバランスを崩します。その大半は血糖値が上がったままになってしまうケース、いわゆる糖尿病になることが多いです。
1型糖尿病と2型糖尿病
糖尿病の原因はインスリンの作用不足ですが、その原因は主に2つあります。ひとつは1型糖尿病です。これは膵臓のランゲルハンス島β細胞(インスリンが産生される場所)が自己免疫などにより破壊されることで、インスリンの分泌が急激に減少、これにより高血糖に陥る状態です。もうひとつは、日本人の全糖尿病患者の95%以上を占めると言われる2型糖尿病です。これは主に日頃の不摂生な生活習慣(過食・偏食、運動不足、飲酒・喫煙)や環境要因(過剰なストレスなど)が原因です。
合併症を防ぐのが目的
糖尿病を発症し、常に血糖値が高い状態になると、血管に損傷、動脈硬化の進行などが起きます。糖尿病は自覚症状がないことから症状を進行させやすく、やがて血管や神経が障害を受けるようになり合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害 など)を引き起こします。また脳卒中や心筋梗塞を起こすこともあります。糖尿病が怖いのは、これらの合併症を発症させることで、そのためには常に血糖値のコントロールが欠かせません。
治療は、1型糖尿病では適切な量のインスリンを体外から補うインスリン注射(インスリン療法)を行います。2型糖尿病では、食事療法や運動療法による生活習慣の改善のほか、薬物療法(血糖降下薬)の内服も併せることもあります。これらで改善しない場合は、インスリン注射(インスリン療法)になります。
高血圧
血圧が持続的に高い状態を高血圧と言います。外来時の血圧測定で最高血圧(収縮期血圧)が140mmHg以上、最低血圧(拡張期血圧)が90mmHg以上の場合に高血圧と診断されます。どちらか一方でも超えていれば、その対象になります。
高血圧も他の生活習慣病同様に自覚症状が現れにくいことから注意が必要です。常に血圧が高いと、血液を心臓から血管へ送る際にそれだけ大きな負荷がかかり、血管壁はやがて厚くなり、さらに動脈硬化を招くようになります。それでも放置が続くと、心筋梗塞や脳卒中、腎不全、閉塞性動脈硬化症といった合併症のリスクが高まります。自覚症状がなくても、健診時などでの血圧測定で高いとの指摘を受けましたら、一度医療機関をご受診ください。
本態性高血圧と二次性高血圧
発症の原因は2つあり、1つは原因不特定の本態性高血圧です。これは日本人の高血圧患者のおよそ90%以上がこのタイプと言われています。なお原因がわからなくても、遺伝的要素、肥満や過食、日頃の食生活での塩分過剰摂取、飲酒・喫煙、運動不足などが考えられています。もうひとつは、他の病気が原因で引き起こされる2次性高血圧です。腎機能低下、睡眠時無呼吸症候群、薬剤による副作用などによって発症するタイプになります。
治療は、血圧を下げることが目的となります。主に食事療法と運動療法による生活習慣の改善し、それだけでは改善が難しい場合は、降圧薬などによる薬物療法が行われます。
脂質異常症
以前は高脂血症と呼ばれ、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪など血中脂質の濃度が慢性的に高い状態のみが病気の対象とされていました。しかし、HDL(善玉)コレステロール(余分なコレステロールを回収する)が少ない状態も異常であることが判明し、現在の病名である脂質異常症となりました。この疾患も自覚症状が出にくいので、健診時などに行う血液検査で指摘されて気づく方がほとんどです。
血管内にコレステロールを蓄積させると、動脈硬化を招く原因になります。進行すると、狭心症や心筋梗塞、脳卒中といった合併症を起こすこともあります。
発症の原因は、不摂生な生活習慣(偏食・過食、運動不足、肥満)、遺伝的要因、糖尿病など他の病気、服用している薬の影響などが考えられます。
高尿酸血症
高尿酸血症は、血液中に含まれている尿酸が過多になっている状態を言います。尿酸は水分に溶けにくいので血液中では尿酸塩として存在しています。これが多過ぎると、針状の結晶ができるようになり、体のあちこちにある関節に留まるようになります。なかでも足の親指の付け根付近で激しい痛みを伴う炎症発作が起きるようになり、これを痛風と言います。
痛風は、血液検査による尿酸値測定を行うことで予防することができます。血清尿酸血が7.0mg/dLを超えている場合は、高尿酸血症と診断されます。これは痛風がいつ発症してもおかしくない状態です。そのため直ちに尿酸値を下げる治療が行われるようになります。
プリン体の大量摂取に注意
尿酸値が高くなる原因は、尿酸の元となるプリン体を大量に摂取(レバー類、アルコール、魚卵、かつお、えび、かにみそ など)している場合が最も多いとされ、その他には、先天性代謝異常症や造血器の病気などによって尿酸の産生が増加している場合、尿酸の排泄が遺伝的要因や腎臓機能の低下などにより悪くなっていることで起きると考えられています。 治療の目的は、尿酸値を下げることになります。そのためには、生活習慣の改善(食事療法、運動療法)が欠かせません。具体的には、プリン体を多く含む食品を控え、栄養バランスのとれた食事(野菜、海藻、きのこ類 など)をとるなどです。運動療法では、継続的に有酸素運動(ジョギングや水泳など)を無理のない程度で1日30分ほど行います。また医師が必要と判断すれば、尿酸の生成を抑制する薬や尿酸の排泄を促す薬などを服用します。